涼宮ハルヒの覚書

涼宮ハルヒシリーズの小説・アニメ・その他関連することに関する覚書(メモ)です。

『涼宮ハルヒの分裂』『驚愕(前)(後)』読書メモ(考察)。

涼宮ハルヒの分裂 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの分裂 (角川スニーカー文庫)

 

先日掲題の3冊を久しぶりに読み終えました。いやー面白かった! 今回、気付いたことや思ったことを忘れないうちにメモしておこうと思います。

自分用のメモなので読んでも何のことだか分からないかもですが、ご関心のある方は読んでみていただいてもいいかもしれません。そして気になったことや意見、感想、反論など、コメント欄やツイッターにてじゃんじゃんお寄せください。

なお、以下完全に読後の方のみを対象としていますので、まだ読んでねーよ! という方はこれを機に早く読んでください。さあ! 早く!!

 

それでは以下、レッツゴー!

 

Q.「ハルヒは分裂によってキョン長門を守ろうとした」という古泉くんの解釈は合ってるのか?

 実際、長門の任務はいずれ終わるので守る必要はなかった(長門を早く治したかったにしては5日間は長すぎる)。ただし、情報統合思念体と天蓋領域の対話がハルヒの世界分裂と再統合によって中断した、もしくはそれがなければ中断しなかったのであれば辻褄は合う。なお、そのような条件は作中では描かれていない。

 「キョンが敵勢力の意のままになっていたかも」という古泉くんの仮説についても、藤原の説明を真とするのであれば、敵勢力の意のままにキョンハルヒの能力譲渡に応じてもキョンハルヒもそれで御役御免なので特に気にする必要はないはず。

 藤原が何がしか嘘を言っていてハルヒがそれを見抜いている可能性はある。また、藤原が目的を完遂し未来が変わることで他の障害が生じる恐れもある。特にみくる(小)がこの時代に来られなくなるかもしれない。むしろみくるを守った可能性はある。なお、そのような条件は作中では描かれていない。

 ハルヒの能力が故意に移譲される=意のままになることをキョンは快く思っておらず、そうさせないため、ということであれば辻褄は合う。

 上記の通り、古泉くんの解釈は合っていてもおかしくはないが、間違っているとも考えられる。

 

Q.何故ヤスミは電話をかけてきたのか?

 本来佐々木が電話をかけてくるタイミングで先に電話をすることで佐々木のキョンへの電話がつながらず、佐々木団の中での佐々木とキョンの関係の重要性が低下し、佐々木→キョンへの介入が減る。結果としてバタフライ効果的にαとβの世界分岐が生まれる。αの佐々木団に動きが見られなかったのもこれが理由と思われる。ハルヒは電話一本で世界を分裂させていた。

 「じゃあ世界分裂と再統合などせずともよかったのでは?」とも思われるが、藤原はハルヒの能力が存在するうちに時空改変を行う必要があるため、一時的に佐々木とキョンを遠ざけたとしてもいずれ何らかの行動を起こす。そのため、αでできた1週間を用いてキョンやヤスミやSOS団団員たちが何かをし、結果的に藤原の計画を破綻させる必要があった。

 

Q.ハルヒの無意識は何故ヤスミを作り出したのか?

 ハルヒが最終局面でやったことといえば、ヤスミを通じて佐々木製閉鎖空間に古泉くんを召喚したことと、2人のキョンを融合させたこと。ハルヒ製閉鎖空間と神人を生んだことくらい。直接的に藤原の計画を止めたのはキョン(佐々木への能力委譲に同意せず佐々木にそれを促さず、殺されかけたハルヒを救った)と古泉くん(赤玉大爆発で藤原を退けた)何がしかの理由でハルヒの無意識は直接藤原を止めることはできない模様。できるならこんな事件起きていないはず。

 また、キョンや古泉くんを促すのであれば、自分自身が分裂するか、単に「渡橋泰水」と署名した手紙を下駄箱に入れるだけでもよかったはず(少なくとも古泉くんは「わたしはすずみや」に気付いて指示に従うはず)。

 ここから察するに、ハルヒには別の姿を借りてでもキョンに対面で伝えたいことがあったと考えられる。

 

Q.何故ヤスミの名前が正体のヒントになっているのか?

 ヤスミが最後まで自分の正体をキョンに明かさなかったことや、長門がヤスミの正体について「知らない方がいい」と判断したことから考えても、ハルヒはヤスミの正体が自分であるとキョンにばれてほしくないと内心考えていると思われる。

 そのため、キョン自身に気付いてもらうというよりは、長門や古泉くんに気付いてもらうことを意図していたと考えられる。

 なお、長門や古泉くんが終盤したことといえば、三重結界で九曜のハルヒ殺害を制止したこと、赤玉大爆発で藤原を止めたこと、キョンハルヒを助けるよう促したことくらいと思われる。 

 

Q.ヤスミの名前のアナグラムはアルファベット分解する必要はあったのか?

 「わたはしやすみず」→「わたしはすずみや」と、ひらがなのままでも答えに辿り着ける。何故古泉くんがアルファベットにまで分解したのかは

 

Q.ハルヒは結局自分で夕食を作っているのか? 作っていないのか? 

togetter.com

 こちらのまとめ参照。どらすとさんありがとうございます!

 まとめると、

・通常なら自分の家庭事情を話さないが、βでは長門の看病に気を取られていたこともあり、自分から「自分の母親は味音痴なのよ」という事実を言った。自分の料理の腕は確かでありこれで長門の病気もすぐに治る、と長門を安心させたかった意図もあったのかもしれない。

・自分から言ったβと異なり、αでは一応他人であるキョンに「お前のオカン味音痴だろ」と言われた(βと状況がかなり異なる)。外働きをしていて料理が苦手だが毎晩夕食を作ってくれている母親の名誉のために、嘘を言って自分が手伝ってることを隠した。αで自分の母を悪しざまに評したことに対する自己嫌悪感が内心あったのかもしれない。

・αとβの差異そのものにキョンへの「世界は分裂している」という違和感を与えるためのヒントだったのかもしれない。ただし、結局キョンは世界が再統合されるまで分裂に最後まで気付いていないため、効果はなかったと思われる。

 これらのことから確かに言えるのはハルヒにも嘘をつく程度には二面性があるということ。キョンが見たまま、理解した通りの人柄や思考だとは言えない、という具体例となっている。

 

『分裂』『驚愕』の人物の二面性

 本作では「実は九曜と付き合っていた谷口」「実は鶴屋さんを慕っていた国木田」「実は過去にハルヒと知り合いだった佐々木」など、既存キャラがキョンの知らない面を持っていたことが明かさせるという展開が多い(そしてその多くが人間関係に関するものである。(「実は後輩萌えだったみくるちゃん」「実は投球が上手かった古泉くん」などの例外はあるが)。世界が二つに分裂するように、人物にも二面性があるということが何度も描かれている。特に国木田の件などは物語に直接絡む要素ではないため、この二面性を強調するため、もしくは後に続くシリーズへの伏線として盛り込まれていると考えられる。

 ということは、本作で謎のままになっている要素も、人物の人間関係に関わる二面性という点から考察することで解が見えるかもしれない。

 

 Q.ハルヒは何故世界を分裂させたのか?

 

ハルヒがヤスミという仮の姿を通じてキョンに伝えたかったこと

ハルヒの無意識が直接藤原を止めることができない理由

・ヤスミの正体がキョン以外にはバレてもキョンにはバレてほしくなかった(長門が「知らない方がいい」と判断した)理由

 これらの理由が、ハルヒの二面性という点から説明できる可能性があると思われる。以下、それについて考察する。

 

(つづく)