涼宮ハルヒの覚書

涼宮ハルヒシリーズの小説・アニメ・その他関連することに関する覚書(メモ)です。

ハルヒ記事拡散に見る、いい転載と悪い転載。 ※201703212300追記 #haruhi

※201703212300 ハフィントンポストの記事について追記しました。

getnews.jp

 

昨日、上記のような記事をガジェット通信さんに掲載してもらいました。

結果1万以上RTされ「ハルヒが教科書に!」というビッグニュースをかなり多くの方に届けることができました。ツイッターの画像を提供してくださった匿名希望の方、ハルヒを採用した桐原書店さんには大いなる感謝です!

 

一方、かなり多くのサイトに記事をパクられ、嫌な思いもしました。。

そのためこんなつぶやきをしたりもしました。

 

 

で、これらのつぶやきに多くのRTやいいね! をいただき、みなさんこういう話題に関心があるんだー、と思ったので、今回は「こういう転載はOK!」「これは悪!」というのをケース別に紹介したいと思います。

 

 

□そもそも問題ないやつ

rensai.jp

→連載.jpというサイトにガジェット通信の記事と全く同じものが掲載されていますが、これは問題ありません。というのも、これを書いたのも私だからです。

ガジェット通信の記事掲載の手順として、外部ライター(私みたいにガジェット通信の社員じゃないフリーのライターさんたち)は、まずこのサイトにブログのように記事をアップし、それがガジェット通信さんに採用されたらガジェット通信に載る、というステップになっています。なので実はこっちの方がオリジナルなんですね。

こっちで記事を見たり拡散していただいたりして何ら問題はないのですが、ガジェット通信の方がメジャーなのでそっちを拡散してもらった方が拡散力が高いからいいかな、と思います*1

 

ガジェ通記事配信先

Yahoo!ネタりか』http://netallica.yahoo.co.jp/
Livedoorニュースhttp://news.livedoor.com/
『exciteニュース』http://www.excite.co.jp/News/
mixiニュース』http://news.mixi.jp/
BIGLOBEニュース』http://news.biglobe.ne.jp/
Googleニュース』※一部 http://news.google.co.jp/
『ニコニコニュース』http://news.nicovideo.jp/
『アメーバニュース』http://news.ameba.jp/
DoCoMo iコンシェル ひつじの取材帳』https://www.nttdocomo.co.jp/service/customize/iconcier/function/check.html
『KAI-YOU.net』http://kai-you.net/
『infoseekニュース』http://news.infoseek.co.jp/publisher/gadget/
auニュース』http://news.auone.jp/
『LINE NEWS』http://news.line.me/about/
『Social News Network』http://snn.getnews.jp/ (休止中)
『読めるモ』※携帯電話向け
モバゲータウン』※携帯電話向け
『スマートニュース』※スマホアプリ
SONY Socialife』※スマホアプリ
『グノシー』※スマホアプリ
『Antenna』※スマホアプリ
『カメリオ』※スマホアプリ

(http://getnews.jp/about)

→ガジェット通信のようなWebメディアは、自分とこの記事を指定の他媒体に配信することで記事を拡散するという仕組みになっています。なので、ガジェ通サイトに記載の上記メディアに掲載されている場合は問題ありません(今回はなかったですが)。

なお、その場合出典元として必ずガジェット通信の名前と記事のURLがどこかに記載されているはずです。

 

 

□むしろ嬉しいやつ

→こちらの方はブログで記事を紹介され、ツイッターで拡散されています。

URLを自分のブログで記載することはもちろん何ら問題ないですし、記事のマルコピではなく、記事をきっかけとしたご自身の熱い思いが主題になっているので、全然OKです。こういうのはどんどん書いてほしい。

ハルヒが教科書になって、おれも嬉しい!!

 

gameover.com.hk

→中国のサイトに翻訳されてた模様です。外国(この場合に本)の情報をお知らせするのには報道としての価値があるのでいいですね。

きちんと文末に引用元として元記事を明記しているので、この後紹介する日本のメディアより大分いいです。

 

 

□ちょっとよく分からないやつ

→勢い嬉しそうに報告していますが、このハッカドールというアプリは、よく考えたらOKなんだっけ?? というやつです。

というのも、上記のガジェット通信の記事配信先に名前がないので、記事を勝手に使用している可能性が高いんですよね。

ここで「えっ、記事を勝手に紹介しちゃダメなの!? 俺もダメ??」という話になると思うんですが、それはやり方次第です。

 

まず、URLそのものはもちろんいつでもどこでも誰でも紹介してOKです。逆に「無断リンク禁止」とかには実は法的拘束力はありません。インターネッツの意味ねーよになりますからね。

次に、リンク先の文章を紹介する場合。これは著作権法上に定められた「引用」という形をとればOK、とっていないとアウトになります。

 

で、引用の仕方については下記の記事などが分かりやすいので見ていただくといいかもです。

hrnabi.com

最高裁の判断も揺らぎつつあり、引用の要件は一義的に決まっていません。さまざまな要素の総合考慮ともなりますが、1)自分の著作物と他人の著作物が明瞭に区別されていること(明瞭区別性)と、2)自分の著作物が主であり、引用する他人の著作物が従であること(主従関係)が重視されてきました。その他に、3)引用するための相当の理由があること(必然性)や、4)出所の明示を要件とする見解もあります。

こんな感じですね。

 

たとえば上の記事紹介部分も「引用」なのですが、これは

 

①文章と引用符(文頭が一段下がってるやつ)とで「ここは私の文章ではなく他サイトからひっぱってきた文章だよ!」と明示しており、「これも俺の文章だぞ!」と噓をついているわけではない

②このブログ記事は「ハルヒ記事拡散を通じていい転載と悪い転載を紹介しつつ何が良くて何が悪いのかを伝える」ということが主題の記事であり(これが「主」ということ)、上記の記事を紹介することはその要素の一部である(これが「従」ということ)

③記事の中で引用について説明する必要性がある

④上記記事のURLを紹介し、引用元の出所を明示している

 

という風に、引用の要件を満たしているんですね。なので他人の記事を使ってもOKなんです。

 

一方、ハッカドールを見てみましょう。

 

f:id:ishijimaeiwa:20170320112012j:plain

(https://web.hackadoll.com/n/AC9i)

 

一応「ガジェット通信」と書いてありますし(出典、と書いてほしいですが)、「続きを読む」を押せば元記事に飛ぶので、上記要件の①と④はまあ満たしています。

一方、この記事はガジェ通の私の記事を紹介しているだけで、ハッカドール自身の主張は何もありません。単なるコピーですので、②は満たしていません(なお、報道、批評、研究などであればOKなのですが、これはそのどれでもありません)。自分の主張がない以上、引用する必然性もないので③もNGです。

 

ハッカドールがガジェット通信の配信を受ける契約になっていればもちろんOKですが、先のリストには名前がありませんでした。

また、ハッカドールの運営母体はDeNAなので、仮にDeNAのメディアがガジェット通信の記事配信を受けていてそこからの孫コピーということであれば問題はありません。が、今回そういったメディアもありませんでした。

 

「じゃあキュレーションメディアは全部だめじゃん!」という話になりますが、報道、批評、研究でない、他記事をまとめて紹介しているだけのキュレーションメディアの記事は基本全部ダメです。ちゃんと配信元と契約してお金を払ってください。

 

というわけで、私が見る限りハッカドールは実はダメなやつです。ただ、私の見えないところで何かちゃんとした契約をしているはず、してないとおかしいので、一応「ちょっとよく分からない」という扱いにしておきました。

 

まあ、DeNAWELQの件で大絶賛やらかし中なので、もしかしたらハッカドールも普通にアウトなのかもしれません(WELQ問題については各自ぐぐってください)。

 

 

□法的にはグレー、精神的にはアウトなやつ

※便宜上リンクを貼っておきますが、いい子のみんなはアクセスしないでいいよ!

 

ハフポスのこの記事は、構成といい内容といい、ほぼ私の記事のリライト です。私の記事がバズってるのを見て後追いで適当にまとめたんでしょうね。よく調べもせずにリライトしたためか、桐原書店を霧原書店と間違えて書いてしまっていたりします。

※201703212300追記
現在は修正されています。ただし、以下紹介するこの記事を転載したサイトには「霧原書店」の表記がばっちり残っています。また、ページ下のタグもまだ「霧原書店」のままになっています。
 

 

リライト記事というのは元記事をコピーしちゃいけないから自分の文章で書き直した、くらいの意味です。

ハルヒが教科書に!」という事実や、それを記事にするというアイデアそのものには著作権は発生しません。なのでリライトは法的には黒とは言えませんが、モラル的にはアウトです。

 

上記の記事では、私の記事から「この教科書の入手し方」の部分を省き(この部分は三省堂書店の店員に取材した内容が入っているので、ここをパクるとリライトではなくパクリになるため省いたのでしょう)、ツイッター上でこんな反応があったよ、とつぶやきを紹介しています。そこで差異を出したんでしょうね。

なお、ツイッターのつぶやきを紹介する際は埋め込みであればOK、というツイッター社のガイドラインがあるので、この埋め込みでの紹介には問題ありません。また、この埋め込みでの紹介の場合、つぶやきをした人に掲載許諾を得る必要もありません。

 

この記事が法的にはギリ問題なくてもかなりアウトなのは、上記の通りほぼ私の記事のパクリな上に、「ツイッターガイドラインでOKだから埋め込みでのつぶやき紹介は無断でしてもいいでしょ?」とかましているところです。

あのなあ、高校1年生の教科書を3月時点で紹介しているつぶやき主が中学生である可能性が高いことや、そんな彼らが記事を通じて大勢の大人の目に触れること、その中には中学生であることを念頭にアプローチを試みる邪な輩がいないとも限らないことが想像できねーのか?? おめーらの無能な記事のせいで迷惑被るハルヒファンの子供が出てくるかもしれないことくらい少しは頭使って想像しろよ!!*2

 

というワケで、ハフィントンポストの株が私の中で大いに下がる事件でした。残念度でいえば今回一番残念だったかも。ハフポス、メジャーメディアだと思って昔は憧れてたのになあ。

あと、この記事をこさえた安藤健二記者の記事は二度と読みません。私はね。

 

 

□アウトなのでダメだゾ! と諭してあげたいやつ

スクリーンショットにも上記の著作権法および引用のルールが適用されます。この場合、引用の要件である①~④を全部満たしていないので明らかにアウトです。

 

ですが、この方の場合営利目的ではなく純粋に「これ知ってほしい!」というつぶやきだし、若い人っぽいし、業者じゃないなら著作権法とか引用の要件とか知らなくても仕方ないかなあ(知らなきゃダメなんだけど)…というところで、なんだか憎めない感じです。

私は不問にしましたが、このつぶやきのせいで稼ぎが減った人もいるだろうし、大人げない人が本気でかかってきたら圧倒的に不利なので、 こういうことをする際はせめてURLくらいは併記しておいた方がいいと思います。

(※なお、この方からはその後個別に詫びがきたので、上記の通りダメだゾ! と諭しておきました)

 

 

□明らかにアウトなやつ

これが一番多かったのでダイジェストでお送りします。みんなリンク先にはいかないでね!

f:id:ishijimaeiwa:20170320130155j:plain

俺的ゲーム速報@刃やはちま起稿はパクリ記事の常習サイトです。これらに関わって作品や受け手が得することは何一つない上に損することはたくさんあるので、コンテンツを愛する諸氏は近寄らないようにしましょう。

今回の件では両方とも私の記事の引き写しでした(記事そのものに主張がないので引用とは言えない)。

なお、私のPCブラウザには「はちまバスター」 というアプリを入れているので、上記の通りリンクがつぶされて表示されています。chromeユーザーにはマジオススメ。

chrome.google.com

 

 

otakomu.jp

オタク.com、通称オタコムは私の記事の完全コピーな上に元記事へのリンクも明記なし*3というアウトオブアウツでした。刃、はちまと並んで触れてはいけない存在です。

 

itaishinja.com

いたしんというまとめサイトは、今回の記事をよりにもよってハフポスからコピーしているため「霧原書店」の誤字のまま、さらにその記事への2ちゃんねるでの反応をまとめているという、地獄の縮図みたいなことになっています。

blog.livedoor.jp

このゴールデンタイムズというサイトも上記同様で、安定の霧原書店です。

「採用されるwww」「Twitterで報告多数」と記事タイトル文末に入っている記事には行かない方がよさそうです。

 

アニゲー速報もハフポス→2ちゃんまとめのため相変わらず霧原書店です。ここまでは上記サイトと一緒なのですが、何にも増してムカつくのが記事タイトル。

 

「1年生まれるの早かった」「留年しよう」「俺の学校の教科書 WORLD TREK じゃなかった…」「やった俺の学校ハルヒだ!」というつぶやきはちょっと調べただけでも散見されるし、そもそも教科書の画像をアップしているのもハルヒを知ってる中学生なので、今の若者はハルヒを知ってるってことなんですが、この記事まとめた人にはそれが分からないようです。ハルヒ好きじゃないんでしょうね。

コメント元の2ちゃんねる自体が高齢化しているので、なんとなくハルヒ=10年以上前のオッサンしか知らない作品、というイメージなんでしょう。私もファン活動する前まではそう思ってたし。

 

yusaani.com

にじぽいというサイトでは、ガジェット通信の私の記事を引き写ししていました。まあハフポスでない分マシです。

引用元へのリンクはありますし、文末に管理人コメントがあるのでそちらが記事の主テーマとも考えられなくもないのでややマシですが、引用はその割合が全体の半分を上回ってはならないという要件もあるので、やっぱりアウトです。

 

またその管理人コメントも

 

今の高校生なんて、たとえオタであってもハルヒ知らないんじゃないか?w

 

という、単なる思い込み一文のみなので、これをして報道目的の記事、というのにはかなり苦しいものがあります。

 

なお、このにじぽいというサイトは以前は「ゆさアニ」という名称でした。今でもURLなどにその跡が残っています。

元々は「遊佐さん」という女性の管理人(という設定で実際は別の名前の男性だったのかも?)によるアニメサイトだったのですが、ある日突然名称変更し、遊佐さんもなかったことになってしまいました。

 

この遊佐さんという人物はハルヒを見てアニメが好きになり人生明るくなった、と公言してはばからないハルヒ大好き設定だったので、その頃は応援していたのですが…こういうハルヒ愛のない記事を上げるようになるとは本当に残念です。

 

 

 

というわけで、これらのサイトやこれらの記事、またこれらをさらにコピーしたと思われる同じタイトルの記事には近寄らないようにした方が賢明です。

 

 

□まとめ(この記事の)

こういうまとめサイト・パクリサイトの類はフリーライドと言って、自分たちで取材したり確認したりせずに楽に儲けようとするのが常なので、ハフィントンポストの「霧原書店」のように、平気で間違った情報を拡散します。

 

また、本来儲かるべきだったオリジナル記事を書いた人や取材対象に利益が回らない、ということもあります。

今回であれば、私の記事では「この教科書の入手方法」という形で買い方を紹介していたのに、上記サイトは(そこは私が独自に取材した部分なので使うと訴えられる恐れがあるため)そこをカットしているケースが多数でした。

そうすると、桐原書店さんとしては知名度が上がって売り上げが増えるはずだったのに、劣悪サイトのせいで買い方が分からない人が増え、ほんの少しですがビジネスチャンスを失ってしまうわけです。

 

あともちろん、記事をパクられた私はその分記事の拡散が抑制されるため、記者としての成果が上がらなくなり、仕事がもらえなくなってしまう、ということもありえます。足を使って取材したのは私なのに!(まあ今回の記事は期待以上に拡散しましたが)

 

こういうことが続くと、私も「ハルヒの記事を書いても儲からないしな…バイトでもするか…」となるし、桐原書店さんやKADOKAWAさんも「せっかく上司の反対を押し切って面白い教科書にしたのに、売れないなら仕方ないな…つまらん教科書にしとくか…」となって、作り手側は誰もいい思いをしません。そうすると損をするのは、もちろん受け手側でもあります。

 

逆に、引用の要件に従っていれば、ちゃんとオリジナルを紹介することになるため結果的に情報元の方にも利益が出るようになっているし、法的にも真っ白になるのですが、面倒くさいからかパクリサイト・まとめサイトはちゃんと引用することはないようです。ちゃんとやれば何も問題ないのに。。

 

このように、パクリサイト・まとめサイトを応援して得をするのは、ほぼコストナシで記事をこさえてアフィリエイトで金が入ってくるパクリサイト・まとめサイトだけです。

 

もしあなたが作品や業界を愛する人なら、簡単に情報を得られるからといってパクリサイト・まとめサイトを使って誤情報を広めたり、作品や業界の損になるようなことをするのはやめましょう。

 

 

ハルヒメモとの約束だぜ!!

 

 

(おわり)

 

 

□過去の記事

haruhimemo.hatenablog.jp

haruhimemo.hatenablog.jp

haruhimemo.hatenablog.jp

haruhimemo.hatenablog.jp

haruhimemo.hatenablog.jp

*1:あと、連載jpの記事がいくら拡散してもライターの評価にあんまりならないという事情もあるので、記事がガジェット通信に採用されたらそっちをRTしてほしいという内部的な希望はあります。

*2:ちなみに私の記事ではその危険性を鑑み、写真所有者と相談の上、写真をお借りするという形で匿名掲載としました。

*3:厳密には記事最下部に記載はありましたが「明記」はされていませんでした。