涼宮ハルヒの覚書

涼宮ハルヒシリーズの小説・アニメ・その他関連することに関する覚書(メモ)です。

エッセイ『無口少女・涼宮ハルヒ』試し読み版。 #haruhi #C92

 今日から待ちに待ったC92! 私の所属するSOS団東大支部も、2日目に間借りという形でブース参加させていただきます(詳細は以下記事)。

haruhimemo.hatenablog.jp

 私もSOS団東大支部活動報告という同人誌に『無口少女・涼宮ハルヒ』という考察エッセイを寄稿させていただきました。

 ところで「SOS団東大支部の活動報告ってどんな同人誌なの?」「ブースに行く価値ある??」という方も多いと思います。

 そこで、私のエッセイの前半パートをサンプルとしてここで公開してしまいます。こんな感じのハルヒ系読み物(本当はもっと面白いやつや漫画などがあります)がたくさん読めるんだーと気になった方は、ぜひサークル 情熱邑子応援団 さん(東L04a)にお立ち寄りください!

 

 それでは以下、レッツゴー!

 

『無口少女・涼宮ハルヒ』 著:いしじまえいわ

 

 『涼宮ハルヒ』シリーズにおける「無口キャラ」といえば、10人中10人が長門有希の名を挙げるであろう。原作既読者であれば、100人に2人くらいは、長門と同じ宇宙人である周防九曜の名前を挙げるかもしれない(こちらは電波系という方がより近いが)。

 実は本作にはもう一人、長門や九曜と同じレベルの、いや、見方によっては彼女ら以上に深刻な無口キャラが存在する。何を隠そう、作品タイトルにもなっているSOS団団長、涼宮ハルヒ、その人である。

 本作を少しでも知っている方であれば、ハルヒ長門の対極に位置する、超がつくほどかしましい人物であることはご存知であろう。また原作者である谷川流氏もハルヒをして「ハイテンション」と評している(『涼宮ハルヒの観測』p.118)。そのため、彼女を「無口キャラ」として認識している人は多くないかもしれない。

 だが、原作者がどう言おうと、ハルヒはある面においては十分無口キャラと言える性格を有している。本稿のためにTVシリーズを全編見直し、その認識はより強固なものになった。涼宮ハルヒは、ある意味ではまごうことなき無口キャラである。

 また、涼宮ハルヒ=無口キャラという理解は、彼女の人物像や本作のテーマについて、一段深まった理解をするための一助になるものでもある。

 

 本稿では、以下分析パートと考察パート、2つのパートにて涼宮ハルヒが無口キャラであることを証明し、そこから見えてくる彼女や作品そのもののメッセージについて考察する。

 

□無口少女・涼宮ハルヒの分析

 ハルヒが無口キャラと言えるかを検証するため、アニメ版『涼宮ハルヒの憂鬱(2009年版)』および『涼宮ハルヒの消失』でのハルヒの会話シーンをすべて確認し、以下の3パターンに分けてその相手と回数、内容を分析した。

 

ハルヒから誰かに話しかけたシーン

ハルヒが誰かに話しかけられ、対応したシーン

ハルヒが誰かに話しかけられ、無視したシーン

 

条件1) 設定上ほぼ完全に同一の時間であると考えられる『エンドレスエイト』については『VIII』のみを対象とした。

 

条件2)キョンとのやりとりは全てノーカウントとした。本作がキョンの主観によるものであるため、キョンとのやりとりは必然的に多いことに加え、キョンの主観的な判断を排し、ハルヒを極力客観的に分析するためである。

 

条件3)ハルヒが誰ともなく発したセリフは会話とはみなせないため、ノーカウントとした。

 

 まず①ハルヒから話しかけたシーンについて。ハルヒが話しかける相手として回数が多いのは、前述の通り圧倒的にキョンである。また「野球大会に出るわよ!」「はいカット!」など、誰ともなく言った、もしくはその場にいる全員に対して言った、会話とはみなしがたい発言も非常に多い。

 この二つを前述の理由で除外すると、ハルヒの話しかける相手として一番回数が多いのはみくるで、全編で72回ほどある。団員では古泉の22回、長門の21回と続く(なお長門ハルヒに話しかけられて返答したのが直接描写されたのはわずか5回のみ)。ハルヒはイメージ以上に、女子先輩であるみくるに懐き、コミュニケーションを取りやすい彼女にばかり話したがる女の子であると言える。これは原作『涼宮ハルヒの驚愕』に登場する渡橋泰水のことを考えれば辻褄が合う。

 

 また、団員以外に話しかけた例では、コンピ研の部長や北高野球部員、祝川商店街のみなさん、森さん新川さん田丸兄弟ら組織の面々、ENOZなどである。

 これらSOS団団員以外の人物との会話には「SOS団の活動に関連する話をしている」という共通点があり、それ以外の日常的・個人的な会話はほとんどない。なお、これは団員相手でもほぼ同様である。わずかな例外は文化祭後のENOZの面々との会話などであるが、それだけハルヒがいわゆる普通の会話をしていない、または苦手であることを示している。

 

 次に②ハルヒが話しかけられて対応したシーンについて。キョンを除いて一番多いのは古泉で、わずか9回である。みくるは6回、長門から話しかけたのはなんと0回である。ハルヒにわざわざ絡んでいくのは古泉くらい、ということが数字の上でも見て取れる(古泉とは『消失』で2人のシーンが多いことも影響している)。

 ただしその古泉でさえ厳密な意味でのマンツーマンでの会話が初めて描写されたのは第7話『退屈』の「ナイピッチン!」「余裕よ余裕!」というやりとりであり、ハルヒが『憂鬱』全6話で1対1での会話をした例は、キョンを除くと厳密にはみくるとの1回のみである。これはハルヒがその場の全員に対して発言することが非常に多いのと、時期的にまだSOS団団員とも打ち解けていないためである。

 団員以外から話しかけられて対応したケースは、鶴屋さんの3回が一番多い。それ以外は『ミステリックサイン』での喜緑さんの彼氏捜索依頼のようなSOS団の活動に絡むものや、神主に「こらー!」と怒られて「とりゃー」と言いながら銃撃で応えた際のような、会話とは言い難い応酬などである。

 以上のように、古泉や鶴屋さん(キョン)などのもの好きを除けば、わざわざハルヒに話しかけるような人物は少ない、ということが分かる。

 

 最後に、ハルヒが話しかけられて無視したケースについて。団員の中では古泉が12回も無視されており断然トップである。うち7回が『消失』だが、キョンがジョン・スミスを名乗る前まではハルヒから古泉に話しかけるケースも複数あったのに対し、無視されるのは名乗った後に集中している。ジョンの登場によって消失ハルヒの関心が古泉からジョンに移ったことを示す描写になっている。

 みくるは2回無視されているが、うち1回は『憂鬱IV』にてキョンとのみくるの悩殺写真についてのやり取りの直後であり、物語上の演出の意味合いが強い。

 長門ハルヒから意図をもって無視されているケースは1度もなく、表情で返すなど何かしらの返答をしている。ハルヒ長門にはかなり気を遣っていることが分かる。同じ無口少女として、ハルヒなりに感情移入、または共感しているところがあるのかもしれない。今後の研究が待たれるところである。

 

 SOS団団員以外でハルヒに無視されたのは、ほぼ全て1年5組のクラスメイトである(学外で会う大人などには、挨拶したり会釈したりで無反応ということはほぼない)。中でも一番無視されたのは朝倉で、『憂鬱IV』冒頭にてハルヒが朝倉を無視しているシーンが2回確認できる(ハルヒの表情は見えないが、台本に「朝倉を無視している」と書かれている)ほか、『憂鬱I』にて「わたしがいくら話しかけてもなーんも答えてくれない涼宮さんが……」とキョンに話していることから、映像外でも何度もハルヒに無視されていることが伺える。

 クラスメイトとしては他に谷口と国木田が1回ずつ無視されている。また『憂鬱I』ではハルヒが教室で服を脱ぎだした際、周りの女子クラスメイトたちからたしなめられた際もハルヒは無言のまま応答しない様子が描写されている。

 『憂鬱I』にてキョンハルヒに邪険にされた際、東中出身のクラスメイトから「やめとけって」と言っていることから、東中出身のクラスメイトは基本的にハルヒを無視しているようである(なおこのシーンは2006年TV放送版には存在せず、DVD化の際に追加されたシーンである)。

 

 これらをまとめると、以下のようになる。

ハルヒSOS団やその活動以外の日常会話や個人的な話を他人に話すケースは少ない

ハルヒに積極的に話しかける人物はキョン、古泉、鶴屋さんなど限られている

ハルヒは朝倉などクラスメイトをよく無視しており、無視されてもいる

 

 上記がエッセイの分析パートでした。同人誌の方では後半この分析を元に作品考察をしていて、どちらかというとそっちが本番の内容になっています。

 

 というわけで、こういうハルヒ系のエッセイや読み物が読みたい方は、重ね重ねになりますが、サークル 情熱邑子応援団 さん(東L04a)にお立ち寄りください! 団員や支部長が待ってます!(私もいるかも)

 もしくは、遠方で参加が難しい方は、下記アカウントにご相談ください! どうにかしてくれるかもしれません。

 

 それではみなさん、いい夏を!

 

 

□過去の記事

haruhimemo.hatenablog.jp

haruhimemo.hatenablog.jp

haruhimemo.hatenablog.jp

haruhimemo.hatenablog.jp